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2008年9月10日

新iPod nanoの「印象」

それでもまだ、iPodは魅力的なんだろう。

設計の指標に「軽薄短小」というのがあったことがあって、
つまり軽くて薄くて、短くて小さいものをユーザーはほしがるという話なんだけど、
これって感性で言えばかなり表層的なもの。
さらに言えば、表面のざらざら感とか、液晶の輝いてる感とか、中身の詰まってる感とか、角の立ってない具合とか、製品・メーカーをとりまくイメージへの共感とか、そういう性質も工業製品の選択に影響してそう。(直感。)

コンピュータ系の製品やガジェット類は比較的高い製品なので、買って「失敗」とは思いたくないもの。CMを見て、カタログを見て、機能を見て、実機をさわって、今後の収支を考えて、支出の優先順位を検討して、買うかどうか選択をする。その後、お金と道具を交換する。そして、壊さないようにとか、綺麗に使おうとか。予測見誤りの部分があれば「あばたもえくぼ」と納得して、もしも致命的な不適合がある場合は売って金に戻す。一所懸命愛そうと努力する。なかなか買ったばかりの製品を捨てようという人はいないはずだ。

おそらく、こういうユーザーの購買の流れは、前半は道具の位置づけ、後半は道具のある生活の構築への努力と分けられると思う。
この点からiPodを見てみると、iPod Classicとnanoならば、iPodや携帯音楽プレーヤはもうほとんどの人が経験済みで、生活の中に携帯音楽プレーヤが入る場所はすでに用意されている。だから後半の努力はほとんどない。
しかし、iPhoneや、iPod Touchは、どう活かせばいいのかまだまだ模索されるだろうし、あれだけ高機能になってしまうと「やっぱりなじめない」という人が発生してくるはず。iPodTouchは特に電話機能がないので、より深刻だ。iPhone、特にiPod touchは、居場所がまだない。新顔をどう生活に組み込んでゆくかという点に工夫や努力を必要とする。

ところで、この間仲間と話した話題に、努力や工夫をいとわない人の投資の量はすごい、というものがあった。アニメにしろ化粧・整形にしろ、その投資を無意識にできる人の投資量は、意識的にやる人とは比べられない。つまり、新しいガジェットが好きで好きでたまらないエンスーな人たちは、無意識にiPod Touchを買う~そして生活に組み込むことを楽しむ~一方で、そうでもない人にとって、iPod Touchは単なる大画面iPod。何でもお膳立てしてくれるiTunes Storeが発展することと、その新サービスによって対応・非対応の明暗がつくまでは見送るタイプ。そして最大限努力を惜しむタイプだとも結果的に言えるだろう。
直感というより偏見かもしれないが、後者のほうが、多そうだ。なんとなく、コメントは「辛い」というか、愛そうという気持ちを感じないことがある。これはマニアでなければ当然の反応だと思う。

僕らが携帯音楽プレーヤを見る目はそういう目なので、
非エンスー族の皆さんが新しいiPod nanoのどこに目をやるのか、というのが興味深い。
iPod Classic, iPod nanoには、新しいコンテンツを見る力はない。よりよく音楽生活を送るための機能がいくつか追加されることと、形が新しいという2点が表面的な変化だ。

たったこの2点にまで、非エンスーの人々から評価がされるようであれば、
それはまさにiPodマジックといえるだろう。
Appleはそれほどまでに印象がよい製品を作り上げることができるのだ。

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