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2009年8月2日

ウェブタブレット

Crunchpadを見ていると、タブレットPCは変われるかなぁ、と不安に思う。

タブレットPCはMicrosoftが2004年頃に提唱した、ペン入力ができるWindowsの規格だった。タブレットPCの難点は文字入力の遅さと価格が高かったこと。初代から数世代でほとんどのメーカーが発売を止め、今では一部の顧客用に細々と売られているのを法人サイトで見つけられるのみになった。

しかしペン入力、タッチパネルのイノベーションは、これらの問題点を補うような形で、姿を変えて登場することになる。AppleのiPhone / iPod touchは携帯入力をサポートすることで入力速度を、フルPCにしないことで価格を下げることができた。しかも、今後タブレット型のMacを計画しているとのこと。価格をクリアすれば、これは強烈なインパクトになることが想像できる。
一方のCrunchpadは低価格のウェブタブレットで、Linuxをサポートする。ネットブックの部品を使うことで、価格面は数万円まで下げている。しかし、いまだハードウェアの仕様決定や価格の予想は報道されているが、ソフトウェア面では、初期のプロトタイプで予測なしのソフトウェアQWERTYキーボードが表示されていたくらいの情報しか報道されていないように思う。

この両者はとがっているという点では似ているが、ソフトウェアの完成度という点では雲泥の差がついている。Crunchpadでできることは、もしかすると、iPod touchやiPhoneでできてしまうのかもしれない。そうすると、Crunchpadの敵は、$99から契約できるiPhoneや、$199のiPod touch。価格面は、パソコンに比べれば安いのだが、現時点でわかるソフトウェアエクスペリエンスで比較すると、そんなに安くないのではないか。

逆に、Appleの新製品は例によって全く情報が出てこないが、相当のエクスペリエンスを請け合うだけの実績はマックフリークでなくとも、誰しもが認めるだろう。しかも今回は、入力機構についてiPhoneでのソフトウェアキーボードや音声インタフェースのVoiceOverがあるわけだから、かなりの期待が持てる。MSの提唱したタブレットPCは、ほとんどの人がただのWindowsにしては高い、というものだった。その視点は、もったいない。多くの人が、手書きエンジンとJournalを見出し、タブレットPC専用のソフトを使えば、タブレットPCがすごい可能性を持っていることは発見できた。

こういうガジェットを今までのメタファーで使わせてはいけないのだ。(Wiiにしても。Wiiの中身はGCとそれほど変わりがないが、OSとインタフェースを変えることが重要だった)ユーザーに今までのメタファーを使わせないようにするのは、メーカーの工夫だ。iPod touchはiPod シリーズではなくて、iTouchとかNewtonとか、別ラインとして売った方がよかった、という話をしたことがあるけれど、少なくともMac用のソフトは動かせないとか、あるいは動かせるにしてもMade for iTabletとかの認証をつけるとか。または名前を変えるとか、インタフェースを制限するということが大事(これはAppleTVにあてはめて考えてみてほしい)だ。

マイクロソフトはWindowsとそれに乗っかるOfficeしかない、という思いこみが、ラインアップの幅を狭め、失敗を生んだ。そうならないためにも、Appleはあたらしいウェブタブレットを何として売り出すのかについて詰める必要がある。

Crunchpadは、敵が誰なのかを確認する必要があるだろう。敵は$99なのか、$499なのか。

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